広島のPFAS汚染と安全な水の選び方
広島県東広島市で、深刻なPFAS汚染が明らかになりました。
「ずっとおいしい水だと思って飲んでいた」という住民の方のことばが、多くのひとの心に響いています。
この記事では、なぜ広島でPFASが問題になっているのか、水道水は本当に安全なのか、そしてPFAS除去に役立つウォーターサーバーの選び方について、わかりやすくお伝えします。
広島のPFAS汚染は、けっして他人事ではありません。全国どこにでも起こりうる問題として、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

CONTENTS
東広島市・八本松町で起きたこと
2024年、広島県東広島市の八本松町(やちほんまつちょう)にあるいど水から、国内でも最も深刻なレベルのPFAS汚染が確認されました。
検出された濃度は、1L(リットル)あたり15,000ng(ナノグラム)にのぼりました。
国の暫定目標値は、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の合計で50ng/Lです。今回の数値は、その目標値の300倍以上にあたります。
これほど高い数値が検出されたのは、国内でも前例がほとんどない事態です。いど水を長年にわたって日常的に飲んでいた地域の方たちにとって、非常に深刻な問題であることは言うまでもありません。
「こどものころからずっと飲んでいた」「料理にも使っていた」という住民の方々の声は、わたしたちに水の安全について改めて考えさせてくれます。地元の方にとっては、「おいしくていい水だ」と思っていたものが、じつは汚染されていたという事実の重さは計り知れません。
また、この汚染源については、周辺の製造施設や防災関連施設で長年使われてきた泡消火剤との関連性が指摘されています。PFASを含む泡消火剤は、土壌や地下水に染み込み、除去がきわめてむずかしいとされています。八本松町の事例は、そうした汚染が実際に住民の生活に影響を及ぼした、非常に重大なケースのひとつです。
出典: yahoo news「広島・東広島市の井戸水からPFAS 国内最大規模の汚染確認」
URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/77d823e15613cdfb4fd447d5fbd1716bc1133e23
出典: 東広島市「有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)に関する調査結果及び対応について」
URL:https://www.city.higashihiroshima.lg.jp/soshiki/seikatsukankyo/5/5/38222.html
住民の血液検査で明らかになった健康影響
2025年11月に実施された住民の血液検査では、米国の健康影響指標の110倍を超える値が検出された方もいることが報告されています。
この数値は、PFASが体内にどれほど蓄積しているかを示す指標のひとつです。PFASは体内に入ると排出されにくく、長期間にわたって臓器や血液のなかに残り続けるという特性を持っています。
健康影響として懸念されているのは、がんのリスクや甲状腺の異常、免疫機能の低下、コレステロール値の上昇などです。特に成長過程にあるこどもや、免疫機能が影響を受けやすい方への影響が心配されています。
京都府立大学の専門家は「きわめて異常な事態」と指摘しており、東広島市長も住民を対象にした健康診断の実施を検討する意向を示しています。こうした行政の動きからも、今回の汚染の深刻さが伝わってきます。
「知らなかった」ではすまされない問題として、地域全体で対応が急がれている状況です。住民の方の不安はもちろん、行政や研究機関も連携して調査・対策を進めることが求められています。
PFASとはどんな物質なのか——基礎知識をおさらい
PFAS(ペルフルオロアルキル化合物)とは、1万種類以上にものぼる有機フッ素化合物の総称です。
フライパンのコーティングや防水加工された衣類、泡消火剤など、わたしたちの身のまわりのさまざまな製品に長年にわたって使われてきました。しかし、PFASには自然界ではほとんど分解されないという特性があります。そのため「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」とも呼ばれており、いちど環境に広まると除去がひじょうにむずかしいとされています。
なかでもPFOAとPFOSは、発がん性との関連が指摘されており、国際条約(ストックホルム条約)によって製造・輸入が禁止されています。にもかかわらず、かつて広く使われていたこれらの物質は、今もなお土壌や水のなかに残り続けています。
| 種類 | おもな使われかた | 規制状況 |
|---|---|---|
| PFOS | 泡消火剤・半導体製造など | 2009年に国際条約で規制 |
| PFOA | フライパンコーティング・防水加工など | 2019年に国際条約で規制 |
| その他PFAS | さまざまな工業製品・生活用品 | 規制対象外のものも多数 |
PFASは体内にとり込まれると、なかなか排出されにくい性質があります。長期にわたって摂取し続けると、がんや甲状腺の異常、免疫機能への影響などが懸念されています。
「知らないうちに飲み続けていた」という事態を避けるためにも、PFAS汚染について正しい知識を持っておくことが大切です。次のセクションでは、水道水の安全性についてさらに詳しく見ていきます。
出典: 環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」
URL:https://www.env.go.jp/water/pfas.html


水道水はPFASから安全なのか——知っておきたい基準と実態
「いど水の話だから、水道水は関係ない」——そう思うかたもいるかもしれません。
しかし実際には、PFASは地下水だけでなく、河川や水源地にも広がる可能性があることが知られています。
じっさい、全国各地の浄水場や水道水からも微量のPFASが検出されており、国も現在進行形で対策を進めている状況です。広島の件を「他の地域には関係のない話」として片づけることはできません。
水道水の安全性を考えるうえで、まず知っておきたいのは「基準値」の意味です。基準値以下だからといって、完全に安全が保証されているわけではありません。科学的な知見が進むにつれて基準が変わることもあり、「今の基準では問題ない」という状況が将来も続くとは限らないのです。
日本の基準値と海外の差——12.5倍のひらき
日本の暫定目標値はPFOS+PFOA合計で50ng/Lです。この数値は、飲料水の安全性を確保するための「目安」として国が設定したものです。
しかし、この50ng/Lという数値は「暫定」のものであり、科学的な知見が更新されれば今後見直される可能性があります。暫定という言葉は、「今の段階では、ひとまずこの数値を基準にする」という意味であり、「これ以下なら絶対安全」というわけではありません。
アメリカでは2024年、米国環境保護庁(EPA)がより厳しい基準として4ng/Lを設定しました。日本の基準値(50ng/L)と比べると、実に12.5倍の差があります。さらにEUでは、個々のPFAS物質ごとに規制が設けられており、合計でより低い基準が適用されています。
| 国・地域 | PFAS基準値(PFOS+PFOA合計) | 備考 |
|---|---|---|
| 日本 | 50ng/L(暫定目標値) | 水道法に基づく暫定値 |
| アメリカ | 4ng/L | 2024年にEPAが設定 |
| EU | 0.1ng/L(PFAS合計) | より包括的な規制 |
この差を見ると、日本の基準は現時点では国際的に見ても「ゆるい」といえます。「国の基準値以下だから安全」と一概に言えない現状があることを、まず理解しておくことが大切です。
こうした国際的な動向をふまえて、日本でも今後基準の厳格化が議論される可能性があります。
出典: 環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」
URL:https://www.env.go.jp/water/pfas.html

全国の水道水でPFASが検出されている実態
環境省が実施した水質モニタリング調査では、全国各地の水道水からPFASが検出されていることが確認されています。
すべての地点が基準値を超えているわけではありません。しかし、微量であっても長年にわたって飲み続けた場合の累積リスクについては、まだ十分な研究が積み重なっていない部分があります。
特に以下のような方は、より慎重に水の安全を考えることが推奨されています。こどもや乳幼児(成長過程にあり、体が影響を受けやすい)、妊娠中・授乳中の方(胎児や赤ちゃんへの影響が心配される)、免疫機能が低下している方(病気の治療中など)、高齢の方(長年の蓄積量が多い可能性がある)。
「検出されたが基準値以下だから問題ない」という説明を耳にすることがありますが、それが「まったく影響がない」ということとは必ずしも同じではありません。水の安全について不安を感じているかたは、次のセクションで紹介する「自宅でのPFAS除去」という方法を参考にしてみてください。
出典: 環境省「有機フッ素化合物の水質測定結果」
URL:https://www.env.go.jp/water/page_00083.html
自宅でPFASを除去するという選択肢
「自分の家の水が心配」「こどもに安全な水を飲ませたい」——そう思ったとき、多くのかたが検討するのが自宅でのPFAS除去対策です。
自治体が公開している水質検査の結果を確認することは大切です。しかし、「それだけでは不十分」と感じるかたも多く、浄水器やウォーターサーバーのフィルターを使って水をきれいにする方法が注目されています。
自宅でできるPFAS除去対策は、以下の3つが代表的です。①浄水型ウォーターサーバーの導入:水道水をフィルターでろ過して使うタイプです。ウォーターボトルの運搬が不要で、コストパフォーマンスが高いのが特徴です。PFAS除去率が明記されている製品を選ぶことが重要です。②家庭用浄水器の設置:蛇口や水道管に取り付けるタイプです。手軽に導入できる一方で、フィルターの性能によって除去できる物質が大きく異なるため、PFAS対応かどうかを必ず確認する必要があります。③ミネラルウォーターの購入:すでに安全が確認された水を購入する方法です。ただし、ランニングコストが高くなりやすい点と、プラスチックボトルのごみが増える点がデメリットです。
上記のなかで、コスト・手間・除去性能のバランスがよいとして注目されているのが、浄水型ウォーターサーバーです。次のセクションでは、ウォーターサーバーのフィルターを選ぶときの重要なポイントをくわしく解説します。
出典: 公益社団法人日本水道協会「家庭用浄水器について」
URL:http://www.jwwa.or.jp/Center/07josui/main07_s.html#02_1

PFAS除去に有効なフィルターの選び方——知らないと損する3つのポイント
浄水器やウォーターサーバーには、さまざまな種類があります。
しかし、フィルターの性能によって除去できる物質の種類や量が大きく異なります。PFAS対策として機器を選ぶ場合は、まずフィルターの仕様をしっかり確認することが欠かせません。
「浄水器を使っているから安心」と思っていても、じつはPFASに対応していない製品を使っているケースは少なくありません。ここでは、フィルターの種類と、製品選びで絶対に確認すべきポイントをご紹介します。
フィルターの種類と特徴——何が除去できて何ができないのか
市場に出回っている浄水フィルターには、大きく分けて以下の種類があります。【活性炭フィルター】塩素やカルキ臭の除去には高い効果を発揮します。多くの家庭用浄水器に搭載されているタイプで、価格が手ごろな点が特徴です。しかし、PFASへの対応はかぎられており、「塩素が取れる」ことと「PFASが取れる」ことはまったく別の話です。【中空糸膜フィルター】非常に細かい繊維状の膜でろ過するタイプです。細菌や濁りには高い除去効果を発揮しますが、分子サイズの小さいPFASはのぞけないものが多いとされています。【逆浸透膜(RO膜)フィルター】非常に細かい穴を持つ膜でろ過するため、PFASを含む多種多様な物質を除去できます。米国などでは飲料水の精製に広く使われている技術です。【高性能複合フィルター】複数のフィルターを組み合わせることで、PFAS・重金属・農薬・塩素など、幅広い物質を効率よく除去できるタイプです。ViVi Waterが採用しているのもこのタイプで、50種類以上の物質に対応しています。
| フィルターの種類 | 塩素除去 | PFAS除去 | 細菌除去 | コスト |
|---|---|---|---|---|
| 活性炭フィルター | ◎ | △ | △ | 安い |
| 中空糸膜フィルター | ○ | × | ◎ | 中程度 |
| 逆浸透膜(RO膜) | ◎ | ◎ | ◎ | 高い |
| 高性能複合フィルター | ◎ | ◎ | ◎ | 中〜高 |

製品を選ぶ3つのチェックポイント
PFAS除去を目的として製品を選ぶ場合、以下の3点を必ず確認してください。
①PFAS除去が明記されているか:製品の仕様書やカタログに「PFAS除去対応」と明示されているかどうかを確認します。「塩素・カルキ除去」とだけ書かれている製品は、PFASに対応していない可能性があります。「浄水器だから安心」ではなく、必ずPFAS対応の記載があるかを確認しましょう。わからない場合はメーカーに直接問い合わせることも大切です。
②除去対象物質の数と種類:PFASだけでなく、農薬・重金属・細菌なども気になるかたには、除去対象物質が多い製品がおすすめです。50種類以上に対応している製品は、総合的な安心感があります。除去できる物質の一覧が公開されている製品は、信頼性が高いといえます。
③除去率が数値で示されているか:「除去できる」とだけ書かれている製品と、「PFAS除去率99.9%」のように具体的な数値が明示されている製品では、信頼性が大きく異なります。数値が示されていない場合は、根拠となる試験データを確認することをおすすめします。第三者機関による試験結果があれば、さらに安心です。
| チェックポイント | よい例 | 注意が必要な例 |
|---|---|---|
| PFAS除去の明記 | 「PFAS除去対応」と明示されている | 「塩素・カルキ除去」のみの記載 |
| 除去対象物質数 | 50種類以上に対応 | 数種類のみ、または記載なし |
| 除去率の数値 | 99.9%など具体的な数値がある | 「除去できる」とだけ書かれている |
| メンテナンス | フィルター定期交換込み(手間なし) | 交換頻度や費用が不明確 |
まとめ——広島の方こそ、今が水の選び方を見直すタイミング
今回の東広島市のPFAS汚染は、わたしたちに水の安全性を改めて考えるきっかけを与えてくれました。
「うちは大丈夫だろう」と思わず、まずは自分たちが使っている水がどんな水なのかを確認してみてください。そのうえで、不安を感じているかたは、ぜひPFAS除去対応のウォーターサーバーの導入を検討してみてください。
この記事で覚えておきたいポイントは、以下の3つです。
✅ PFASは地下水だけでなく、水道水にも含まれている可能性がある:暫定目標値以下でも、長年にわたって摂取し続けた場合のリスクは十分に解明されていません。日本の基準は国際的に見ても「ゆるい」部分があり、今後の見直しも予想されます。不安を感じるかたは、自宅でのPFAS除去を検討することをおすすめします。
✅ PFAS除去には、フィルターの性能を確認することが重要:「浄水器ならなんでも大丈夫」ではありません。PFAS除去が明記されているか、除去率が数値で示されているか、メンテナンスが継続しやすいかの3点を必ず確認しましょう。

本記事は公開情報をもとに作成した、情報提供を目的とした記事です。
