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水道水のPFAS汚染状況と安全性を徹底解説


近年、ニュースや新聞で「PFAS(ピーファス)」という言葉を耳にする機会が増えています。

PFASとは、有機フッ素化合物の総称であり、4,700種類以上もの物質が存在するとされています。

この化学物質は、フライパンのコーティングや防水スプレー、泡消火剤など、私たちの身近な製品に長年使われてきました。

しかし、自然界でほとんど分解されないことから「永遠の化学物質(フォーエバーケミカル)」とも呼ばれ、環境や人体への影響が心配されています。

PFASとは

とりわけ注目を集めているのが、水道水からのPFAS検出問題です。

全国各地の河川や地下水、そして水道水から、国の暫定目標値を超えるPFASが検出される事例が相次いでいます。

「自分が毎日飲んでいる水は安全なのだろうか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本の水道水におけるPFAS汚染の現状から、国内外の基準値の違い、汚染源、そして家庭でできる対策まで、徹底的に解説していきます。

正しい知識を身につけて、ご自身やご家族の健康を守るための参考にしてください。


日本の水道水におけるPFAS検出状況

日本国内では、水道水や河川、地下水などからPFASが検出される事例が年々増加しています。

環境省や各自治体が実施している調査により、全国各地で汚染の実態が明らかになってきました。

ここでは、最新の調査結果をもとに、日本の水道水におけるPFAS検出状況について詳しく見ていきましょう。

全国調査で判明した汚染地域

環境省は、全国の公共用水域(河川・湖沼など)および地下水について、PFOSPFOAの濃度調査を継続的に実施しています。

令和4年度に実施された調査では、38都道府県の1,258地点で水質検査が行われました。

その結果、16都府県の111地点において、国が定める暫定目標値である50ng/L(ナノグラム/リットル)を超過する濃度が検出されています。

出典:環境省「令和4年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果について」 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

この数字は、調査地点全体の約**8.8%**に相当し、決して少ない割合とは言えません。

特に、工場周辺や軍事施設の近く、空港の周辺地域において、高濃度のPFASが検出される傾向が確認されています。

環境省と国土交通省が2024年11月に公表した「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査」では、さらに詳細な実態が明らかになりました。

全国の上水道と簡易水道を運営する3,755か所の自治体や水道事業者を対象とした調査において、2023年度までの4年間で14か所が暫定目標値を超過したと報告されています。

出典:環境省「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査の結果について(水道事業及び水道用水供給事業分)」 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

これらの地点では、水源の切り替えなどの対策が講じられ、最新の検査では目標値を下回っているとされていますが、潜在的な汚染リスクを示す重要なデータと言えるでしょう。

暫定目標値を超過した事例

全国各地で報告されている暫定目標値超過の事例を、時系列で整理してご紹介します。

時期地域検出状況
2025年5月千葉県鎌ケ谷市軽井沢地区の井戸水を飲用した住民の血液検査で高濃度のPFHxSが検出(国内2例目)
2025年1月茨城県鉾田市鉾田川流域周辺の井戸4か所のうち1か所で暫定目標値の約15倍を検出
2024年10月千葉県鎌ケ谷市軽井沢地区の40の井戸で指針値の840倍の濃度を検出
2024年9月埼玉県さいたま市河川周辺から暫定指針値の240倍を検出
2024年6月三重県四日市市河川水から暫定目標値の60倍超を検出
2024年4月千葉県柏市柏・白井市境の金山落で最大指針値の36倍を検出
2024年4月東京都地下水調査で暫定指針値超が28か所、立川市や渋谷区では最大12倍を検出
2024年2月神奈川県横須賀市米軍基地排水から暫定指針の258倍を検出
2024年2月広島県東広島市米軍川上弾薬庫近くの水路から暫定指針の300倍を検出
2023年11月岡山県吉備中央町産廃置き場近くの浄水場の水から暫定指針の1,240倍超を検出

出典:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」各種調査結果
https://www.env.go.jp/water/pfas.html

上記の表からもわかるように、暫定目標値の数十倍から1,000倍以上という極めて高濃度のPFASが検出されている地域も存在します。

岡山県吉備中央町のケースでは、産業廃棄物の影響が疑われており、浄水場の水から暫定目標値の1,240倍を超えるPFASが検出されました。

千葉県鎌ケ谷市では、2024年5月に井戸水から最大240倍、同年10月には840倍という高濃度が確認され、住民の健康への影響が懸念されています。

これらの事例は、PFASによる水質汚染が局所的ではあるものの、深刻なレベルに達している地域があることを示しています。

主要都市の水道水検査結果

東京都や大阪市、名古屋市など、主要都市における水道水のPFAS検査結果についても確認しておきましょう。

東京都では、都内全域を対象とした地下水調査が継続的に実施されています。

令和3年度の調査では17自治体、令和4年度には21自治体で暫定目標値を上回る結果となりました。

これは都内全自治体の約3分の1にあたる数字です。

ただし、東京都水道局によると、浄水場から供給される水道水については、いずれも暫定目標値を下回っていると発表されています。

出典:東京都水道局「水道水の安全性(有機フッ素化合物について)」
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/pfas/

大阪市では、水源である淀川および水道水について、平成17年度からPFASの実態調査を実施しています。

大阪市水道局の発表によれば、各浄水場における水道水のPFOS・PFOA濃度は、暫定目標値を大きく下回っており、安全性は確保されているとのことです。

出典:大阪市水道局「大阪市の水道水における有機フッ素化合物(PFAS)の検出状況について」 https://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000499786.html

名古屋市の水道水は木曽川を水源としており、上下水道局が定期的な水質検査を実施しています。

これまで有機フッ素化合物(PFAS)が暫定目標値を超過して検出されたことはなく、安心して利用できるとされています。

出典:名古屋市上下水道局「本市の水道水における有機フッ素化合物(PFAS)の検出状況について」 https://www.water.city.nagoya.jp/category/suidousuisitsu/146339.html

このように、主要都市の浄水場から供給される水道水については、おおむね暫定目標値以下に管理されています。

しかしながら、地下水を水源とする地域や、井戸水を使用している家庭では、汚染リスクが高まる可能性があることを覚えておく必要があるでしょう。


水道水のPFAS暫定目標値とは

水道水に含まれるPFASについて、日本ではどのような基準が設けられているのでしょうか。

ここでは、暫定目標値の意味や設定された経緯、そして今後の法改正について詳しく解説します。

50ng/Lの基準値が設定された背景

日本では、2020年4月に水道水中のPFOS・PFOAについて、暫定目標値として合計50ng/L(ナノグラム/リットル)以下と定められました。

この数値は、「水質管理目標設定項目」のひとつとして位置づけられています。

出典:厚生労働省「水道水質管理の最近の動向について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/suishitu/index.html

「ng/L(ナノグラム/リットル)」という単位は、非常に微量な濃度を表すものです。

具体的なイメージとしては、学校の25mプール(長さ25m×幅12m×平均深さ1m)に、食卓塩の塩粒3個分(約0.3mg)を溶かした濃度に相当します。

このように極めて小さな単位が使われるのは、PFASのような微量汚染物質でも人体に影響を及ぼす可能性があるためです。

暫定目標値が設定された背景には、以下のような経緯があります。

  • PFOS・PFOAの難分解性(自然界で分解されにくい性質)が確認された
  • 生体蓄積性(体内に蓄積されやすい性質)への懸念が高まった
  • 海外の研究で健康への影響が指摘されるようになった
  • POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)により、国際的な規制が進んだ

これらの状況を踏まえ、厚生労働省は2020年に暫定目標値を設定し、水道事業者に対して管理を求めることとなりました。

体重50kgで毎日2L飲んでも安全な値

暫定目標値である50ng/Lという数値は、どのような考え方で算出されたのでしょうか。

この数値は、「体重50kgの人が、1日あたり2リットルの水を生涯にわたって毎日飲み続けても、健康に悪影響が生じないと考えられる濃度」として設定されています。

出典:環境省「PFOS、PFOAに関するQ&A集」 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

具体的には、以下のような前提条件に基づいて計算されました。

項目設定値
想定体重50kg
1日の飲水量2リットル
摂取期間生涯(一生涯)
水からの寄与率飲料水からの摂取分のみを考慮

つまり、暫定目標値以下の水道水を飲み続けている限り、直ちに健康被害が生じることは考えにくいというのが、国の見解です。

ただし、この「暫定」という言葉が示すように、現時点ではまだ科学的知見が十分ではない部分も残されています。

どの程度の量が体内に入ると健康に影響が出るのかについては、いまだ確定的な知見がないのが実情です。

そのため、最新の研究成果を踏まえながら、今後も数値の見直しが検討されていく予定となっています。

2026年に水質基準へ格上げの動き

これまで「暫定目標値」として位置づけられてきたPFOS・PFOAの基準が、2026年から大きく変わることになりました。

2025年6月30日、厚生労働省と環境省は「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」および「水道法施行規則の一部を改正する省令」を公布しました。

出典:環境省「水質基準に関する省令の一部を改正する省令」及び「水道法施行規則の一部を改正する省令」の公布等について https://www.env.go.jp/water/pfas.html

この改正により、2026年4月1日から以下の変更が施行されます。

主な変更点:

項目内容
水質基準への追加PFOSとPFOAが水道法の「水質基準項目」に正式追加
基準値PFOS・PFOA合計で0.00005mg/L(50ng/L)以下
検査義務水道事業者に対し、おおむね3か月に1回以上の水質検査を義務化
改善措置基準値を超えた場合の改善措置を義務化

これまでの「暫定目標値」は、あくまで水質管理上の目安であり、法的な強制力はありませんでした。

しかし、「水質基準」に格上げされることで、水道事業者には検査と基準遵守が法的に義務付けられることになります。

基準値を超過した場合は、水源の切り替えや浄水処理の強化など、具体的な改善措置を講じなければならなくなるのです。

この改正は、国民の安全・安心を確保するための大きな一歩と言えるでしょう。


海外の水道水基準との比較

日本の水道水に関するPFAS基準は、海外と比べてどのような水準なのでしょうか。

各国の規制状況を比較しながら、日本の基準の妥当性について考えてみましょう。

アメリカは日本の10分の1未満の厳格基準

アメリカでは、PFAS規制において世界で最も厳しい基準が設けられています。

米国環境保護庁(EPA)は、2024年4月10日、飲料水に含まれるPFASに対する初の法的拘束力のある規制を発表しました。

出典:ナショナルジオグラフィック日本版「飲み水のPFASに米国初の規制、1億人守る新基準にのしかかる負担」(2024年5月8日) https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/050700238/

新たに設定された基準値は以下のとおりです。

物質アメリカの基準値日本の暫定目標値
PFOS4ng/L50ng/L(合計)
PFOA4ng/L50ng/L(合計)
PFNA、PFHxSなど3種類10ng/L基準なし
2種類以上のPFAS混合物10ng/L基準なし

アメリカの基準値は、PFOS・PFOAそれぞれについて4ng/Lと定められており、日本の暫定目標値(合計50ng/L)と比較すると、10分の1未満という極めて厳しい水準です。

EPAはこの規制について、「PFASにさらされている1億人のアメリカ国民を守るため」として、健康リスクを重視した判断であることを強調しています。

また、全米の6万か所以上の公共水道に対し、3年以内にモニタリングの実施を義務付け、基準値を超えた場合は5年以内に削減措置を講じることを求めています。

EUやドイツの規制強化動向

ヨーロッパでもPFAS規制の強化が進んでいます。

ドイツでは現在、PFOS・PFOAの飲料水基準値がそれぞれ100ng/Lとされていますが、2028年から大幅に厳格化されることが決まっています。

出典:環境省「PFOS、PFOAに係る国際動向」 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

新たな基準値は、4種類のPFAS合計で20ng/Lとなる予定です。

国・地域現行基準今後の基準
ドイツPFOS・PFOA各100ng/L4種類合計20ng/L(2028年から)
EU検討中PFAS全体の規制を検討

また、EU(欧州連合)では、PFASに分類される物質の全面規制に向けた動きが進んでいます。

現在EUでは、特定のPFASだけでなく、PFAS全体を対象とした包括的な規制の導入が検討されており、世界的に見ても先進的な取り組みと言えるでしょう。

日本の基準は緩いのか

各国の基準値を比較すると、日本の暫定目標値が相対的に緩やかな水準にあることは否めません。

PFOS・PFOAの基準値
アメリカ各4ng/L
ドイツ(2028年以降)4種類合計20ng/L
日本合計50ng/L

アメリカと比較すると、日本の基準は約12倍も緩いことになります。

ただし、この差をどう捉えるかについては、さまざまな見方があります。

日本政府の見解としては、以下のような説明がなされています。

  • 現在の暫定目標値(50ng/L)は、生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないとされる水準として設定されている
  • 各国で採用しているリスク評価の手法や前提条件が異なるため、単純な数値比較は難しい
  • 日本でも最新の科学的知見を踏まえ、継続的に見直しを検討している

一方で、専門家からは「諸外国に遅れないように」という指摘も出ています。

2024年2月に開催された厚生労働省と環境省の合同専門家会議では、規制の強化を求める意見が相次ぎました。

出典:東京新聞「PFAS規制『諸外国に遅れないように』国の専門家会議で注文」(2024年2月21日) https://www.tokyo-np.co.jp/article/311028

2026年の法改正により、日本でも水質基準への格上げが実現しますが、基準値そのものは50ng/Lのまま維持される見込みです。

今後も国際的な動向を注視しながら、基準の妥当性について議論が続くことが予想されます。


水道水のPFAS汚染源

水道水からPFASが検出される原因は何なのでしょうか。

汚染源を理解することで、どのような地域でリスクが高いのかを把握することができます。

軍事施設と空港の泡消火剤

PFAS汚染の主要な原因のひとつとして挙げられるのが、泡消火剤の使用です。

特に軍事施設空港では、航空機火災に対応するため、PFASを含む泡消火剤が長年にわたって使用されてきました。

出典:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

泡消火剤にPFASが使用される理由は、その優れた消火性能にあります。

PFASを含む泡は、燃えている油の表面を素早く覆い、酸素を遮断することで火災を鎮火させます。

特にジェット燃料のような可燃性の高い液体火災に対して、極めて効果的とされてきました。

しかし、訓練や実際の消火活動で使用された泡消火剤は、そのまま地面に染み込み、周辺の土壌や地下水を汚染してきたのです。

実際に、全国各地の米軍基地や自衛隊施設の周辺で、高濃度のPFASが検出されています。

地域施設検出状況
神奈川県横須賀市米軍基地排水から暫定指針の258倍(2024年2月)
広島県東広島市米軍川上弾薬庫近くの水路から暫定指針の300倍(2024年2月)
沖縄県各地米軍基地周辺複数地点で高濃度を検出

沖縄県が実施した全41市町村の土壌調査では、米軍基地がない自治体の土壌からも高い値のPFASが検出されており、汚染が広範囲に拡散している可能性が示唆されています。

出典:朝日新聞デジタル「米軍基地なくても全県でPFAS検出 沖縄に驚き、土壌の基準なし」(2024年4月17日) https://www.asahi.com/articles/ASS4J4J9QS4JTIPE008M.html

化学工場からの排水

PFAS汚染のもうひとつの大きな原因が、化学工場からの排水です。

PFASは、その優れた特性から、さまざまな工業製品の製造過程で使用されてきました。

PFASが使用される主な産業分野:

  • 半導体製造(洗浄剤、エッチング剤)
  • 金属メッキ処理(表面処理剤)
  • 繊維加工(撥水・撥油加工)
  • 紙・包装材製造(耐油加工)
  • フッ素樹脂製造(加工助剤)

これらの製造工程で使用されたPFASは、工場の排水とともに河川や地下水に流れ込み、周辺環境を汚染してきました。

2023年11月に静岡県で発覚した事例では、化学工場付近の水路から暫定指針の5.4倍のPFASが検出されています。

また、岡山県吉備中央町で暫定目標値の1,240倍超という極めて高濃度のPFASが検出された事例では、産業廃棄物の置き場が汚染源として疑われています。

PFOSについては2010年から、PFOAについては2021年から、国内での製造・輸入が原則禁止されています。

しかし、過去に使用されたPFASが環境中に残留し、現在も汚染を引き起こしているのが実情です。

地下水への浸透経路

地表に放出されたPFASは、どのようにして私たちの飲み水に到達するのでしょうか。

その浸透経路について理解しておくことが大切です。

PFASが地下水に到達するまでの流れ:

  • 地表への放出
    • 泡消火剤の使用、工場排水、廃棄物処分場からの浸出など
  • 土壌への浸透
    • 雨水とともに地面に染み込む
    • PFASは水に溶けやすいため、土壌中を移動しやすい
  • 地下水への到達
    • 土壌を通過し、地下の帯水層に蓄積
    • 地下水の流れに乗って広範囲に拡散
  • 水道水源への混入
    • 汚染された地下水を井戸水として汲み上げ
    • 河川への流出を経て浄水場に到達

PFASの厄介な点は、その難分解性にあります。

自然界ではほとんど分解されないため、一度汚染された地下水は、長期間にわたって汚染が継続してしまいます。

さらに、地下水は地表の水のように目に見えないため、汚染が発覚するまでに時間がかかることも問題です。

汚染源から離れた場所でも、地下水の流れによってPFASが運ばれ、予期しない地域で検出されるケースもあります。

このような汚染の特性を踏まえると、特に井戸水を飲用水として使用している地域では、定期的な水質検査が重要と言えるでしょう。


自分の地域のPFAS状況を確認する方法

「自分が住んでいる地域の水道水は大丈夫なのか」と心配されている方も多いでしょう。

ここでは、ご自身の地域におけるPFAS状況を確認する具体的な方法をご紹介します。

自治体の水質検査結果の調べ方

まず最初に確認すべきなのは、お住まいの自治体が公表している水質検査結果です。

多くの水道事業者は、定期的に実施している水質検査の結果をウェブサイト上で公開しています。

確認の手順:

  1. 「○○市 水道局 PFAS」「○○市 水道水 有機フッ素化合物」などで検索
  2. 水道局や上下水道部門のウェブサイトにアクセス
  3. 「水質検査結果」「水質情報」などのページを探す
  4. PFOS・PFOAの検査結果を確認

例えば、東京都水道局では「水道水の安全性(有機フッ素化合物について)」というページで検査結果を公開しています。

出典:東京都水道局「水道水の安全性(有機フッ素化合物について)」 https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/pfas/

主な確認ポイント:

確認項目内容
PFOS・PFOA濃度暫定目標値(50ng/L)以下かどうか
検査頻度どのくらいの間隔で検査しているか
検査地点浄水場や給水栓など、どこで採水しているか
経年変化過去の数値と比較して増減があるか

水質検査結果を見る際は、「検出せず」や「〇ng/L未満」という表記にも注目してください。

これは、測定機器の検出限界値(定量下限値)を下回っていることを意味し、実質的にPFASが含まれていないか、極めて微量であることを示しています。

環境省の公開データの活用

自治体の情報に加えて、環境省が公表しているデータも参考になります。

環境省は、全国の河川・湖沼・地下水などにおけるPFAS調査結果を定期的に公開しています。

出典:環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

このページでは、以下のような情報を確認することができます。

環境省の公開情報:

  • 全国の公共用水域(河川・湖沼等)におけるPFAS調査結果
  • 地下水のPFAS調査結果
  • 水道におけるPFOS・PFOAに関する調査結果
  • PFASに関するQ&A集
  • PFASハンドブック

特に「PFASハンドブック」は、PFASに関する基礎知識から健康影響、対策まで、わかりやすくまとめられた資料です。

初めてPFASについて学ぶ方にも理解しやすい内容となっていますので、ぜひ一度目を通してみることをおすすめします。

また、2024年11月に公表された「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査」では、全国の水道事業者ごとの検査状況が報告されています。

お住まいの地域の水道事業者が検査を実施しているかどうか、確認することができます。

井戸水を使用している場合の注意点

井戸水を飲用水として使用している家庭では、特に注意が必要です。

公共の水道水は浄水場で処理されているため、一定の管理がなされています。

しかし、個人が所有する井戸水は、基本的に自己責任で水質管理を行う必要があります。

井戸水使用者が注意すべきポイント:

  • 周辺環境の確認
    • 近くに工場、軍事施設、空港、産業廃棄物処分場などがないか
    • 過去に泡消火剤が使用された場所がないか
  • 自治体への相談
    • 地域の保健所や環境部門に相談
    • 井戸水の水質検査について情報を得る
  • 民間の検査機関の利用
    • 専門の検査機関でPFASを含む水質検査を依頼
    • 費用は数万円程度かかることが多い
  • 検出された場合の対応
    • 暫定目標値を超える場合は、飲用を控える
    • 水道水への切り替えや浄水器の導入を検討

実際に、千葉県鎌ケ谷市では井戸水から暫定目標値の840倍という高濃度のPFASが検出されています。

また、同市では井戸水を飲用していた住民の血液検査で、高濃度のPFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)が検出された事例も報告されています。

井戸水を使用している方は、定期的な水質検査を行い、安全性を確認することが重要です。

少しでも不安がある場合は、自治体の窓口に相談してみることをおすすめします。


水道水からPFASを除去する方法

水道水に含まれるPFASが気になる場合、家庭でできる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、PFASの除去方法について詳しく解説します。

煮沸では除去できない理由

「水を煮沸すれば安全になる」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、PFASは煮沸では除去できません

これは、京都大学大学院医学研究科の原田浩二准教授の研究によって明らかにされています。

出典:京都大学 原田浩二研究室「多摩地域住民の血漿中PFAS濃度調査の結果の統計学的解析結果について」 https://www.health.env.kyoto-u.ac.jp/pfas/

煮沸でPFASが除去できない理由:

PFASの特性煮沸との関係
熱に対する安定性100℃程度の温度では分解されない
高い沸点水よりもはるかに高い沸点を持つため、水と一緒に蒸発しない
化学的安定性炭素とフッ素の結合が非常に強固で、簡単には壊れない

PFASは、その名称「永遠の化学物質」が示すとおり、通常の方法では分解されにくい物質です。

煮沸して水を蒸発させると、むしろ水中のPFAS濃度が上昇してしまう可能性すらあります。

このため、PFASを除去するためには、煮沸以外の方法を検討する必要があるのです。

活性炭フィルターの効果

PFASの除去に効果的とされる方法のひとつが、活性炭フィルターを使用した浄水です。

活性炭とは、木材やヤシ殻などを高温で炭化し、さらに賦活処理を施すことで、**無数の微細な孔(穴)**を持たせた素材です。

この微細な孔がPFASを吸着することで、水から除去する仕組みです。

出典:環境省「飲料水中のPFOS及びPFOA」WHO飲料水水質ガイドライン作成のための背景文書 https://www.env.go.jp/water/pfas.html

活性炭フィルターの特徴:

項目内容
除去率PFOS・PFOAを70〜80%以上除去可能
仕組み活性炭の多孔質構造にPFASが吸着される
種類粒状活性炭(GAC)、粉末活性炭(PAC)など
効果が高い物質炭素鎖が長いPFAS(PFOS・PFOAなど)

活性炭フィルターは、家庭用浄水器に広く採用されている浄水方式です。

蛇口取付型ポット型など、比較的手軽に導入できる製品でも活性炭が使用されていることが多く、一定のPFAS除去効果が期待できます。

ただし、注意点もあります。

  • 活性炭には吸着容量の限界があり、使い続けると除去能力が低下する
  • フィルター交換を適切なタイミングで行う必要がある
  • 炭素鎖が短いPFASは吸着されにくい場合がある

浄水器を選ぶ際は、PFOS・PFOAの除去試験を実施している製品を選ぶことが重要です。

日本の浄水器のJIS規格には、現時点でPFAS除去に関する基準が設けられていないため、メーカーの公表情報を確認するようにしましょう。

RO膜浄水器の高い除去率

より高い除去率を求める場合は、**RO膜(逆浸透膜)**を使用した浄水器が効果的です。

RO膜とは、0.0001ミクロンという極めて微細な孔を持つ特殊な膜のことです。

この膜に水を高い圧力で通すことで、水分子よりも大きな不純物を除去する仕組みです。

RO膜浄水器の特徴:

項目内容
除去率PFOS・PFOAを99%以上除去可能
仕組み逆浸透膜の微細な孔で物質を分離
対応物質PFASだけでなく、ほぼすべての不純物を除去
設置タイプアンダーシンク型(シンク下設置)が主流

RO膜は、もともと海水淡水化などに使用されていた技術であり、その除去性能は非常に高いレベルにあります。

PFASを含むあらゆる不純物を99%以上除去できるとされており、水質に対して最も高い安全性を求める方に適しています。

RO膜浄水器のメリット・デメリット:

メリットデメリット
極めて高い除去率本体価格が比較的高い
PFAS以外の不純物も除去設置にスペースが必要
長期的な安心感排水(濃縮水)が発生する
赤ちゃんのミルク作りにも安心フィルター交換コストがかかる

RO膜浄水器は、活性炭フィルターの浄水器と比較すると、導入コストや維持費が高くなる傾向があります。

しかし、より確実にPFASを除去したいという方にとっては、最も効果的な選択肢と言えるでしょう。

なお、浄水器を選ぶ際は、第三者機関による除去試験の結果を確認することが大切です。

浄水器協会(JWPA)が定める自主規格「JWPAS B規格」に基づく試験では、PFOS・PFOAの除去性能が評価されています。

この試験をクリアした製品であれば、一定の除去効果が期待できるでしょう。


まとめ

この記事では、水道水におけるPFAS汚染の現状から対策まで、幅広く解説してきました。

最後に、重要なポイントを整理しておきましょう。

PFASとは何か:

  • 有機フッ素化合物の総称で、4,700種類以上が存在
  • 自然界で分解されにくい「永遠の化学物質
  • PFOS・PFOAは健康への影響が懸念され、製造・輸入が禁止されている

日本の水道水の現状:

  • 暫定目標値はPFOS・PFOA合計で50ng/L
  • 全国調査で16都府県111地点が目標値を超過
  • 主要都市の浄水場からの水道水はおおむね目標値以下

海外との比較:

  • アメリカは各4ng/Lと日本の約10分の1の厳しい基準
  • ドイツも2028年から20ng/Lに強化予定
  • 日本でも2026年4月から水質基準に格上げ、検査が義務化される

汚染源と確認方法:

  • 主な汚染源は泡消火剤化学工場からの排水
  • 自治体のウェブサイトや環境省のデータで状況を確認可能
  • 井戸水を使用している場合は特に注意が必要

家庭でできる対策:

  • 煮沸ではPFASは除去できない
  • 活性炭フィルターで70〜80%以上除去可能
  • RO膜浄水器なら99%以上の除去が可能

PFASによる水質汚染は、現在進行形の問題であり、今後も調査や規制の強化が進んでいくことが予想されます。

大切なのは、正しい情報を知り、必要に応じて適切な対策を講じることです。

まずはお住まいの地域の水道水の状況を確認し、不安がある場合は浄水器の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ご自身やご家族の健康を守るために、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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